今でこそトンネルが開通して国道がつながり徳島県側と往来ができるようになったものの、この琴南地区は香川県最南端のどんづまりの地区で、ふた昔前まではおそらく香川県民も用事がなければ一生に1回か2回しか訪れない場所であった。その用事というのがふたつ、ひとつは讃岐うどんブームで聖地となった某製麺所と、もうひとつがこの岩豆腐である。週に3日、朝の6時から9時までしか開店しないというハードルの高い豆腐屋でできる岩豆腐は、重し(べっぴんさんのお尻という説もあるが絶対にうそである 笑)を乗せて水分を徐々に搾り出して堅くして最後には山道を縄で結わえて運べるようにまでにしたというのがいわれである。そもそも水分が少ないので冷奴には向かないが、鍋料理や煮物にいれると出汁をよく吸って美味くなるという代物である。 しかしこういった種類の堅い豆腐はし四国でも山間の部落のいたるところで散見でき、ここの専売特許というものでもない。また最近は、近くの道の駅等でも似たようなものが売られるようになり、比較的入手が容易になった。 ただ個人的にいうと豆腐よりもその副産物である「おから」のほうが絶品ではある。
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「重くて見た目はチーズのようである。」
重くて見た目はチーズのようである。
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