もともは徳島県の山間部から発して今では県全土に広がったものである。「しょいのみ(醤油の実)」とも呼ばれるが、第6番珍味の「しょいのみ(唐辛子)」とはまったくの別物である。正体は阿波独特の風味の「もろみ味噌(なめ味噌)」。醤油や味噌の製造と同じく穀類と塩を発酵させたものである。醤油は小麦を発酵させたものから搾った液体調味料、もろみは醤油を搾る前の固形物、味噌は大豆と穀類を発酵させた調味料であるが、このひしお(しょいの実)は裸麦を麹と塩で食べるために発酵させた「食品」である。古くから塩分の乏しい山間部では乾燥させたものを買ってきて家庭でわざわざ醤油に漬けて戻してから食べていたらしい。「調味料としての味噌」ではなく「食べるための味噌」として、醸造学的にも第一級の発酵食品である。 同じ発酵食品である酒のアテにもぴったり、ご飯のお供として健康にも良いという。産物の乏しい田舎の知恵といえる。 酒と醤油と味噌とは、米、小麦、大豆と原料は異なれど日本古来の醸造発酵商品、いわば兄弟のようなものである。ちなみにこれを推奨した松浦酒造も元々は醤油や味噌も造っていたという。
|
「家庭でに持ち帰ってすぐ食べられるような製品もある。」
家庭でに持ち帰ってすぐ食べられるような製品もある。
「醤油は小麦を発酵させるがこちらは裸麦を発酵させる。色は一般のもろみよりやや薄い。」
醤油は小麦を発酵させるがこちらは裸麦を発酵させる。色は一般のもろみよりやや薄い。
|