久礼といえばカツオの一本釣り水揚げ港として全国的に有名だが、いまさらカツオのタタキでもないだろうというところに高知の酒蔵の男意気が感じられる。というより土佐の代名詞のタタキなんか出したら高知の他の酒蔵から「なんでお前んとこだけええとこ取って」と非難轟々となるのでうかつに手が出せないのである(笑)。 ハランボとは鰹のハラミの部分、マグロでいえばトロの部分だが、昔は捨てていたらしい。同じく「ほおるもん」であったマグロのトロが鮨の代名詞となって高く取引され出したので、二匹目のドジョウを狙って・・・とつぶやいていたら怒られるのだが(汗)、それはそれとしてこれは確かに旨い食べ物。じゃあどうして捨てていたのだろうというのが疑問なのだが、推測するに、トロがそうだったように、地方に散らばるの日本人は、もともと「脂の乗りすぎている魚は苦手」だったのだが、戦後の西洋料理の浸透と都市部の好みの影響を受けて「脂大好き」に味覚観応がかわってきたものではないかと思われる。しかし、これに限らず観光案内などで「地元の味」とされているものも、実は昔と今とでは、良くも悪くも「都会の人に好まれる方向に」様変わりしていることも気に止めておきたい。 またカツオに関しては「ちちこ(鰹の心臓)」を甘辛く煮た物の方が地元では昔から一般的という話もあるので書き加えておく。
|
「てかてかの脂身。辛口でさっぱりした久礼の酒にはぴったり。※寄生虫もつきやすい部分なので炙って食べるのが基本です。」
てかてかの脂身。辛口でさっぱりした久礼の酒にはぴったり。※寄生虫もつきやすい部分なので炙って食べるのが基本です。
|