高知県幡多地方を流れる四万十川は、国内でも汽水域(海水と淡水が混じり合う場所)がとてつもなく広い川として有名である。それゆえに色々な魚がこの汽水域に生息し、魚の種類の多さでも日本有数である。「清流しまんと」の二つ名は水質が綺麗であるということだけではなく、本来は多くの種類の魚の宝庫であるというところからきている。 今も昔も四万十川汽水域のつくだ煮として有名なのは「ゴリ」なのだが、これは13番珍味の「じんぞく」と同じものなので重複を避けるためにテナガエビのつくだ煮とあいなった。 テナガエビ自体はさほど珍しいものではなく、全国の河川や汽水域に生息し東京の荒川でも釣れるほどのポピュラーな水産物である。一般に中型のエビで多くは空揚げやてんぷらやで食されるのだが、四万十ではどちらかというと小振りのものが好まれ、まとめて天ぷらにしたり素揚げにして殻ごと食べるのがふつうである。佃煮になるとより小さめのものになるが、こと酒の肴となるとやはりこの調理方法がぴったりである。
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「栄養分たっぷりの汽水域で育った小エビ」
栄養分たっぷりの汽水域で育った小エビ
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