41番珍味で紹介した通り、四万十川は汽水域が格別に広い川である。その汽水域では栄養分が溢れ、海水淡水を問わず多くの生物が生息している。それだけ酒の肴もたくさんいるということであるが(笑)、特に有名なのは四万十の青のり。一般に四万十ノリというものにも種類があり、大きく分けると「青さのり」と「青のり」とがあり、「青さのり」は主に佃煮として食べられ、これはこれで酒の肴になるのだが、ここで取り上げたのは「青のり(スジアオノリ)」である。 青のり漁は冬季に限られ、川底を掬って取ったノリをロープに吊るし寒風ににさらして乾燥させる。これを天ぷらにして食べたり、醤油をたらして豪快に食べたり、みそ汁やお茶漬けにしたり、砕いて青のり粉にして卵焼きに入れたり・・・日常の家庭料理において重宝する産物である。酒の肴としては青のりの天ぷらやフライパンで炙って醤油で食べるとよい。また、高知県人はなぜか卵焼きが大好きで、それと御飯だけで十分腹一杯の定食になるほど大きな卵焼きをつくるのであるが、青のりを混ぜて焼いた卵焼きは、どんな酒にも合うアテとして万能である。 こんなに地元の生活に密着してきた青のりも、有名になるにつれ生産高が追いつかなくなりすっかり高根の花になってしまった。今ではチビチビ食べる酒の肴である。
|
「長い筋状で乾燥させる。このままたべても青のり粉にしてもOK。」
長い筋状で乾燥させる。このままたべても青のり粉にしてもOK。
|